中長編みの編み方完全攻略!端が斜めになる原因と綺麗に揃える裏技
かぎ針編みの基礎編み目の中でも、厚みと適度な伸縮性を兼ね備えた「中長編み」。ニット帽やブランケット、ポーチなどの作品で頻繁に登場する技法ですが、初心者が最もつまずきやすい編み目の一つでもあります。「編み進めると端がガタガタになって斜めに歪んでしまう」「編み図通りに編んでいるのに目数が合わない」といった悩みは、手芸愛好家のSNSやQ&Aサイトでも後を絶ちません。
中長編みで失敗する最大の原因は、「立ち上がり目を目数として数えるか否か」と「最初の目・最後の目を拾う位置」の構造的な混同にあります。本稿では、手芸現場での指導ノウハウと構造力学的な視点を交え、中長編みの基本手順から細編み・長編みとの違い、端をまっすぐ美しく揃えるプロ直伝の技術まで徹底的に解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:中長編み最大の落とし穴は「立ち上がりの鎖2目を目数に数えるパターン」と「数えないパターン」の混在にある
- 要点2:端が斜めになる・目数が増減する原因は、1目目の根元を拾うか飛ばすかの判断ミスと最後の立ち上がり目の拾い忘れ
- 要点3:糸を引き出す高さを均一に保ち、正しい頭の鎖(2本)を捉えることで、初心者でも劇的に美しい編み地が完成する
【超基本】かぎ針編みの中長編みとは?記号と編み方の基本ステップ

中長編みは、英語で「Half Double Crochet(HDC)」と呼ばれる通り、細編みのしっかり感と長編みの高さをちょうど中間に合わせたような性質を持ちます。厚手でふっくらとした編み地に仕上がるため、冬物小物や防寒具に最適です。かぎ針編みにおける中長編みの編み目記号はアルファベットの「T」で表されます。
中長編みの基本的な編み順序は以下の4ステップです。
① 針に糸を1回かける:かぎ針に糸を前から後ろへと巻きつけます。
② 前段の目に針を入れ、糸を引き出す:指定の編み目に針を差し込み、糸をかけて引き出します。この時点で針には「3本のループ」がかかっています。
③ 糸の高さを揃える:引き出したループの高さを、立ち上がりの鎖2目と同じ高さまでまっすぐ引き上げます。
④ 一気に3本のループを引き抜く:もう一度針に糸をかけ、かかっている3本のループを一気にすべて引き抜きます。
この「3本を一気に引き抜く」構造こそが、中長編み独特のふっくらとした丸みと程よい弾力を生み出します。

【徹底比較】細編み・中長編み・長編みの違いと失敗しない使い分け

かぎ針編みの代表的な3大基本ステッチ(細編み・中長編み・長編み)は、立ち上がりの高さ、糸の引き抜き方、そして編み地の厚みや柔らかさが大きく異なります。作品の用途に合わせて最適な技法を選択することが、完成度の高い仕上がりの第一歩です。
| 項目・ステッチ | 中長編み(T) | 細編み(+ / ×) | 長編み(Tに斜線1本) |
|---|---|---|---|
| 立ち上がりの鎖目数 | 鎖編み2目(編み図により1目扱い) | 鎖編み1目(目数に含めない) | 鎖編み3目(常に1目として数える) |
| ループの引き抜き方 | 針にかかった3本を一気に1回で抜く | 針にかかった2本を1回で抜く | 2本ずつを計2回に分けて抜く |
| 編み地の質感と厚み | 厚手で柔軟、弾力と保温性が高い | 硬く密で型崩れしにくい | 柔らかくドレープ性があり隙間ができる |
| 最適なアイテム | ニット帽、マフラー、ネックウォーマー | あみぐるみ、バッグ、コースター | ショール、カーディガン、サマーニット |
中長編みと細編みの違いは「最初に針に糸をかけるか否か」と「編み目の高さ」にあります。一方、中長編みと長編みの違いは、針にかかった3本のループを「一度に引き抜くか」「2本ずつ2回に分けて引き抜くか」という点です。長編みよりも目が詰まり、細編みよりも早く編み進められるのが中長編みの大きな強みです。
【実態検証】「端が斜めになる・目が合わない」最大の原因と拾う場所のルール
手芸教室の指導現場やSNS上のコミュニティで最も多く寄せられる相談が、「中長編みで往復編みをしていると、両端がどんどん斜めに歪んで台形になってしまう」「段を重ねるごとに目数が増えたり減ったりする」という声です。このトラブルの背景には、中長編み特有の「立ち上がり」の解釈ルールが存在します。
立ち上がりの鎖2目を「目数に含めるか含めないか」の罠
日本の一般的な編み図(JIS記号準拠)では、「中長編みの立ち上がり鎖編み2目は、1目(1目め)として数える」のが標準的な基本ルールです。しかし、一部の海外パターンや初心者向け教本、あるいは編み地の端を綺麗に引き締めたいケースでは「立ち上がりの鎖2目は目数に含めず、根元に中長編みを編み入れる」という手法も広く用いられています。
この2つの流派を混同して編み進めてしまうことが、端が斜めになる根本的な原因です。
パターンA:立ち上がりを「1目として数える」場合(標準ルール)
・1目めを拾う場所:立ち上がりの鎖2目がすでに「1目め」となるため、前段の1番目の根元の穴は飛ばし、2番目の目から中長編みを編み始めます。
・最後の目を拾う場所:段の最後の目は、前段の「立ち上がりの鎖編み2目めの頭(外側の半山と裏山)」を確実に拾って編み入れます。ここを拾い忘れると段ごとに1目ずつ減ってしまい、端が内側にすぼまります。
パターンB:立ち上がりを「目数に含めない」場合(初心者おすすめルール)
・1目めを拾う場所:立ち上がりの鎖2目は単なる高さ合わせ(0目扱い)とし、前段のすぐ根元の1番目の目に中長編みを編み入れます。
・最後の目を拾う場所:前段の「最後に編んだ中長編みの頭の鎖(2本)」を拾います。立ち上がりの鎖編みには針を入れません。端のラインが直線になりやすく、初心者でも目の数え方が直感的に分かりやすいのがメリットです。
段の編み終わりごとに「頭の鎖(Vの字)」を指で数え、作り目の目数と一致しているか確認する習慣をつけることが、歪みを防ぐ確実な自衛策です。

【実践テクニック】輪から編む方法・減らし目・増やし目の正しいつなぎ方
帽子や円形ポーチなどを編む際には、平編みの往復編みだけでなく「輪から編む方法」や「増減目」の技術が必須となります。
中長編みを輪から編む手順と引き抜き編みのつなぎ方
指に糸を2回巻きつける「二重の輪の作り目」から編み始めるのが最も確実です。
1. 輪の中に針を入れ、糸を引き出して立ち上がりの鎖編みを2目編みます。
2. 続けて輪の中に必要な目数の中長編みを編み入れます。
3. 輪を引き締めた後、段の最後は「立ち上がりの鎖2目めの頭」または「最初の本目中長編みの頭」に針を入れ、引き抜き編みでつなぎます。
4. 2段目以降も同様に鎖2目で立ち上がり、規則正しく編み進めます。引き抜き編みの目が緩むとつなぎ目が目立つため、引き抜く際は糸をきつく引き締めるのがコツです。
中長編みの増やし目と減らし目(2目一度)
・中長編みの増やし目(2目編み入れ):前段の同じ1つの目に、中長編みを2回編み入れます。目数を増やして編み地を広げたいときに使用します。
・中長編みの減らし目(中長編み2目一度):
① 針に糸をかけ、1つ目の目に針を入れて糸を引き出します(針に3本)。
② 糸を引き抜かず、再度針に糸をかけ、隣の2つ目の目に針を入れて糸を引き出します(針に5本)。
③ もう一度針に糸をかけ、針にかかった5本のループを一気にすべて引き抜きます。
これにより、2つの目が1つにまとまり、編み地をすっきりと狭めることができます。
【プロの結論】中長編みを美しく均一に仕上げる3つの黄金ルールと作品適性
中長編みは構造上、糸のかけ具合によって編み目の大きさがバラつきやすいステッチです。作品の完成度をプロ級に引き上げるための実践的な黄金ルールをまとめました。
1. 糸を引き出す「高さ」を意識的に揃える
針を入れた後に引き出す糸の長さが足りないと、編み地が硬く縮んでしまい、逆に長すぎると目がスカスカになってしまいます。「かぎ針を水平に保ち、立ち上がりの高さ(約1.5cm〜2cm程度)まで素直に持ち上げる」ことを身体で覚えましょう。
2. 頭の鎖(2本)を完全に貫通して拾う
中長編みは構造上、頭の鎖の手前にもう1本横向きの糸(中長編み特有のサードループ)が見えます。間違えて手前の1本だけをすくってしまうと編み目が伸びて隙間が空いてしまいます。必ず真上から見て「Vの字」になっている鎖の2本をしっかりと針に乗せるように拾ってください。
3. 中長編みに向いている人・おすすめできない作品の基準
【中長編みが最適なケース】:
ふんわりとしたボリューム感が欲しいニット帽、スヌード、赤ちゃんの防寒ケープ、厚手の鍋敷きなど。適度な柔軟性と暖かさを両立したいプロジェクトに極めて適しています。
【中長編みを避けるべきケース】:
綿(コットン)をぎっしり詰める「立体あみぐるみ」や、重い荷物を入れる「ネットバッグ」など。中長編みは適度な隙間と伸縮性があるため、綿が隙間から飛び出したり、荷物の重みで縦に伸びすぎて型崩れするリスクがあります。これらには伸びにくい「細編み」が最適です。
【中長編みの編み方】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:中長編みの立ち上がりの鎖編みは、なぜ「2目」なのですか?
A1:編み目の高さに合わせているためです。細編みは高さが低いため鎖1目、長編みは高さがあるため鎖3目ですが、中長編みはその中間の高さを持つため、鎖2目が基準となっています。
Q2:どうしても両端が波打ったり目が減ってしまいます。一番簡単な対策は?
A2:段の編み始め(1目め)と立ち上がりの位置に「段数マーカー(ステッチマーカー)」を必ず取り付けることです。戻ってきたときに拾うべき「最後の目」が一目で分かるようになり、数え間違いによる目数の増減を完全に防ぐことができます。
Q3:中長編みで編んだ編み地が斜めに傾いてしまう(ねじれる)のはなぜですか?
A3:かぎ針編みは構造上、右利きの場合は目がわずかに右(左利きは左)に傾く「編み癖」が生じます。往復編みの場合は裏表で相殺されますが、輪編みで常に同じ方向にぐるぐる編み進めると全体が斜行しやすくなります。輪編みでも段ごとに編み地をひっくり返す「往復編み」を取り入れるか、仕上げのスチームアイロンで形を整えることで解消できます。
まとめ:正しい構造理解で中長編みの仕上がりは劇的に変わる
中長編みは、編み方の手順そのものは決して難しくありません。つまずきの9割は「立ち上がり目数の扱い」と「目を拾う位置の錯覚」という構造の理解不足から生じています。
自分が編んでいるパターンが「立ち上がりを目数に含めるか・含めないか」を最初に明確にし、端の目を確実に捉えるだけで、編み地の端は定規で引いたようにまっすぐ美しく整います。ふっくらと柔らかな中長編みの魅力を最大限に活かし、編み物ライフの幅をさらに広げてみてください。 (出典: 中 長編 み 編み 方(Yahoo!ニュース))