将棋の駒の動かし方を完全図解!初心者が最短で覚える順番と裏ワザ
盤上に並ぶ40枚の木片が織りなす無限の攻防。藤井聡太の歴史的快挙が契機となった熱狂は一過性のブームにとどまらず、2026年の現在も教育現場やデジタルゲーム市場で将棋プレイヤーのすそ野を広げ続けています。しかし、これから将棋を指してみようと志す初心者が必ず最初に直面するのが、「駒の種類が多く、裏返ると動きが変わって覚えきれない」という厚い壁です。
実際のところ、全8種類の駒が持つ特性や「成り」の規則は、丸暗記しようとするから挫折します。将棋の盤面は、ルールさえ正しく整理すればわずか数十分で頭に定着するように設計されている合理的かつ美しい体系です。本稿では、盤面上の基本ルールから実戦で差がつく反則の盲点、さらには最短で上達するための学習メソッドまでを、指導現場の取材知見を交えて徹底的に解説します。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:駒の動かし方は丸暗記せず、「王・金・銀・歩」の近接組と「飛・角・香・桂」の長距離&特殊組に分類して覚えるのが最短ルート。
- 要点2:敵陣3段目に入ると戦力が激変する「成り」の仕組みを把握し、特に「と金」の驚異的なコストパフォーマンスを理解することが勝敗を分ける。
- 要点3:初心者が最も陥りやすい反則「二歩」や打ち歩詰めの境界線を正しく把握すれば、実戦での無駄な敗北を確実に防げる。
【駒の動かし方一覧図解】全8種類の特性と覚えるべき優先順位

将棋ルール初心者入門において、最も重要となるのは駒の覚え方優先順位を意識することです。闇雲に8種類を覚えようとせず、周囲1マスにコツコツ動く「小回りの駒」と、盤上を遠くまで走る「大駒・遠距離駒」に切り分けて捉えると、脳への負荷が劇的に下がります。
将棋で使われる駒は、先手・後手それぞれ20枚、計40枚です。その動き方を一覧で把握できるよう、役割ごとに整理して見ていきます。
1. 王将(玉将):全方位1マス動ける最高司令塔
王将(玉将)は、前後左右および斜めの全方向、周囲8マスのどこへでも1マスだけ動けます。取られたら即敗北となる最重要駒です。なお、盤面を挟んで向かい合う際、王将玉将の違いと理由について疑問を抱く方は少なくありません。日本将棋連盟の慣例や歴史的背景によると、点がある「玉将」が下位者(後手や段位が下の人)用、点のない「王将」が上位者(先手や有段者)用として使い分けられます。「玉」が宝物を意味していた原点に由来し、上位者が天下を治める「王」を名乗るという格式の象徴でもあります。
2. 金将:後ろ斜め以外の6方向へ進む強固な守護神
金将は前、左右、後ろ、斜め前の計6方向に1マス動けます。行けないのは「後ろ斜めの2箇所」だけです。前進力と横への守備力に極めて優れており、自陣の王を守る「囲い」の要として重用されます。一度敵陣に入っても裏返る(成る)ことはありません。
3. 銀将:前と斜め4方向へ滑らかに進む切り込み隊長
銀将は前、および斜め4箇所の計5方向に1マス動けます。金将と異なり「左右」と「真後ろ」には進めません。ここで初心者が最も混乱するのが金将と銀将の動きの違いです。金は「横と真後ろを守れるが、斜め後ろに引けない」。対して銀は「横や真後ろには行けないが、斜め後ろに素早く引いて戻れる」。この引き足の軽さがあるため、銀は攻めの主軸として敵陣へ突進し、危なくなれば斜め後ろに退却するという柔軟な立ち回りを担当します。
4. 歩兵:前に1マス進むだけの歩兵、しかし将棋の魂
歩兵は前方に1マス進むことしかできません。後ろにも横にも動けず、一見最も無力に見えます。しかし、盤上に9枚並ぶ歩は戦線の前線を形成し、相手の駒の侵入を食い止める防壁になります。後述する成りの恩恵を最も受ける駒でもあります。
5. 飛車:縦横にどこまでも突き進む盤上最強の重戦車
飛車は障害物(自分の駒や相手の駒)にぶつからない限り、縦と横の直線方向へ何マスでも進めます。攻めの中核を担う「大駒」の筆頭格であり、序盤から終盤まで主導権を握るためのエンジンとなります。
6. 角行:斜め方向にどこまでも射抜く長距離スナイパー
角行は斜め4方向の直線へ障害物がない限り何マスでも進めます。縦や横には一切動けません。盤面全体を斜めにクロスする圧倒的な利きを持ち、遠く離れた位置から相手の隙を狙い撃ちにする攻防兼備の駒です。
7. 香車:前方にだけどこまでも走る「槍」
香車は前方の直線方向にのみ、何マスでも進むことができます。後ろや横、斜めには一切進めず、一度進んだらバックできません。その直進性から別名「ヤリ」とも呼ばれ、端攻め(盤の端の筋を破る攻撃)で猛威を振るいます。
8. 桂馬:唯一「他の駒を飛び越える」トリッキーな跳躍者
桂馬は「前に2マス進み、その左右どちらかの斜め前へ1マス」進みます。チェスのナイトに似ていますが、前方向にしか進めません。そして何より重要なのが桂馬の動かし方と裏ワザとして知られる「途中に他の駒があっても飛び越えられる」という盤上唯一の特権です。密集した相手の陣形を軽々と飛び越えて急所を突く奇襲駒として機能します。一方で、一度跳ねると後戻りが絶対にできないため、使い所を誤ると無駄死にしやすい諸刃の剣でもあります。

【飛車角行の成駒ルール】竜王竜馬の動かし方と最強の活用法

将棋のダイナミズムを生み出している最大の根幹が「成り」のシステムです。将棋盤は縦9マス×横9マスの計81マスで構成されており、相手側の陣地である「上から3段目以内(後手から見れば下から3段目以内)」に自分の駒が進入したとき、またはそのエリア内で動いたときに、駒を裏返して能力を大幅にパワーアップさせることができます。
特に勝敗へ直結するのが飛車角行の成駒ルールです。大駒である飛車と角が成った姿は、それぞれ「竜王(りゅうおう/竜)」、「竜馬(りゅうま/馬)」と呼ばれ、盤上を支配する圧倒的な制圧力を発揮します。
竜王竜馬の動かし方は至ってシンプルです。元々の長距離移動能力に加えて、「王将(玉将)と同じ周囲1マスへの移動能力」がそのままプラスされます。
| 成駒の名称 | 基本能力+追加能力 | 実戦での機動力評価 | 編集部の見解・戦術的価値 |
|---|---|---|---|
| 竜王(飛車の成り) | 縦横の直線無制限 + 斜め4方向へ1マス | 盤上最強。死角が極めて少ない | 敵陣に侵入した竜は相手の守備駒を根こそぎ奪う決定打となる。最優先で作るべき駒。 |
| 竜馬(角行の成り) | 斜め4方向無制限 + 縦横4方向へ1マス | 中央に置くと盤面全域をカバー可能 | 弱点だった縦横への動きが補われ、攻守のバランスが完璧になる。自陣の守りに引いても鉄壁。 |
| と金(歩兵の成り) | 金将と全く同じ動き(周囲6方向) | 小回りが利き、取られても損がない | 歩兵のと金成りの効果は絶大。取られても元の「歩」として渡すため、相手に痛手を与えない。 |
| 成銀・成桂・成香 | いずれも金将と全く同じ動きに変貌 | 直進特化から前進・左右への制圧へ変化 | 銀・桂・香は成るとすべて「金」になる。銀の引き足を失うデメリットもあるため不成の選択も要検討。 |
銀将、桂馬、香車、歩兵の4種類は、成るとすべて「金将と同一の動き」になります。あれこれ個別に暗記する必要はありません。「大駒(飛・角)は王の足がプラスされ、小駒(銀・桂・香・歩)はすべて金になる」と覚えるのが最も効率的です。
【初期配置と並べ方の作法】美しい陣形を作る「大橋流」と「伊藤流」

対局を始める前に盤面を整える所作にも、何百年と培われてきた様式美が存在します。将棋駒の並べ方初期配置は、下段(自陣の1段目)中央に王将(玉将)を据えるところから始まります。
江戸時代から伝わる駒の並べ方の作法には、大きく分けて「大橋流」と「伊藤流」の2流派があります。現代のプロ公式戦や奨励会では、大半の棋士が大橋流を採用しています。王将を置いた後、左の金、右の金、左の銀、右の銀、左の桂、右の桂……と、中央から外側へ左右均等に翼を広げるように並べていく手法です。盤上のバランスを整え、精神を落ち着かせる儀礼的な効果も持っています。
自陣3段の配置を再確認すると、最下段の中央に王、その脇を金・銀・桂・香が固め、2段目の左に角行、右に飛車が鎮座します(振り飛車・居飛車に関わらず初期配置は共通)。そして3段目にずらりと9枚の歩兵が並びます。この美しい初期配置から、先手・後手が交互に一手ずつ指し進めていきます。

【実態検証】利用者の生の声と現場目線で見えた初心者のリアル
将棋教室の現場指導員や、オンライン将棋対局アプリ(将棋ウォーズ等)のコミュニティで2026年現在も日々観測されるのは、「ルールは覚えたはずなのに、対人戦になると手も足も出ない」という悲痛な声です。
指導歴20年を超える将棋教室のインストラクターは、近年の受講生の傾向について次のように証言します。
「動画や入門書を読んで『駒の動かし方』を頭では理解しているつもりでも、いざ実戦になると『相手の角の利きが遠くから見えておらず、タダで飛車を取られてしまう』『成れるチャンスなのに成らずにスルーしてしまう』というミスが最初の10局でほぼ100%発生します。脳内で矢印を思い描く訓練が追いついていないのです」
ネット上の掲示板やSNS上でも、「桂馬を跳ねた瞬間に取られてしまいトラウマになった」「銀を成ったら斜め後ろに引けなくなって詰んだ」といった生々しい反省の声が絶えません。こうした実態が示すのは、駒の動きを覚えた直後の段階でいきなり見知らぬ他者と20分以上の本気勝負をするのは挫折リスクが極めて高いという事実です。
初期の挫折を防ぐための特効薬として教育現場で共通して推奨されているのが、初心者向け簡単詰将棋(1手詰)の反復です。動かし方を覚えたら、わずか3手〜5手で終わるミニパズルを1日3分解くだけで、「どの駒がどこへ利いているか」を認識する空間把握能力が飛躍的に立ち上がります。
一般に知られていない盲点とネットの誤解|禁じ手二歩の反則ルール
将棋には、犯した瞬間にその場で即座に反則負けとなる「禁じ手」が存在します。プロ公式戦でも年に数回、秒読みに追われたトップ棋士がうっかり犯してしまうほど根深いルールですが、初心者の間ではネット上の俗説や勘違いが散見されます。
1. 最も頻発する「二歩(にふ)」の反則
初心者が絶対に知っておくべきは禁じ手二歩の反則ルールです。これは「持ち駒の歩を、すでに自分の歩が配置されている縦の列(筋)に打ってはならない」という規則です。盤上にすでに自分の歩がある列に、さらに手持ちの歩をポツリと置いた瞬間、その対局は即座に失格となります。
ここで非常に多い誤解が、「すでに成っている『と金』がある筋に歩を打つのは反則か?」という疑問です。答えは「反則ではない(合法)」です。「と金」はすでに金将と同じ扱いであるため、その縦列に新たな持ち駒の歩を打つことは完全に認められています。この境界線を正確に理解しているかどうかは、勝負どころで決定的な差となります。
2. 「行き所のない駒」の禁止
前にしか進めない歩兵や香車を盤面の最奥(1段目)に打つことや、桂馬を最奥から2段目以内(1段目および2段目)に打つことは禁じられています。なぜなら、その駒は前にも後ろにも二度と動かせず、存在自体が物理的に破綻してしまうからです。持ち駒を打つ際は、必ず「次に進めるマスが存在する場所」へ配置しなければなりません。
3. 「打ち歩詰め」の罠
持ち駒の歩をポンと打って、相手の玉をその手で直接「詰み(逃げ場のない状態)」にしてしまうことは反則です。ただし、盤上にもともとあった歩を進めて詰める「突き歩詰め」は合法です。この極めて繊細なルールの違いも、初心者がネット対戦で突如「反則負け」を食らって呆然とする代表例として挙げられます。
4. 「王手」と宣言する義務はない
マンガやドラマの影響で「相手の玉を狙うときは『王手!』と声に出さなければならない」と思い込んでいる初心者が少なくありませんが、正式な日本将棋連盟の競技規定において、王手を口頭で宣言する義務は一切ありません。黙って指すのが正式な作法です。

【プロの結論】認知心理学から見る上達メソッドと向き不向きの判断基準
認知心理学の視点:なぜ「覚えたつもり」で負けるのか
認知心理学における知見では、人間のワーキングメモリ(作業記憶)が一度に処理できる情報量には厳格な限界があります。将棋を覚えたての脳内では、「この駒は前に行けるか?」「斜め後ろに行けるのは金だったか銀だったか?」という個々の駒の挙動確認だけでメモリの大半が占有されてしまい、盤面全体の危険察知にまで認知リソースが回りません。
一流の棋士が数十手先まで読めるのは、頭が良いからではなく、盤面の配置パターンを「意味のある塊(チャンク)」として直感的に処理しているからです。初心者が最短で上達するための唯一の近道は、駒単体の動きを思考ゼロで判別できるまで、詰将棋やCPU相手の練習対局で身体化させることに尽きます。
【プロの結論】将棋の習熟に向いている人・慎重になるべき人の判断基準
これから将棋を生活の趣味や自己投資として取り入れるにあたり、自身がどのようなアプローチをとるべきかの指針を提示します。
▼将棋の習熟に極めて向いている人
- 論理的な因果関係を解き明かすのが好きな人:「なぜ負けたのか」を一手前の局面に戻って検証(感想戦)できる人は、信じられないスピードで上達します。
- ルールに明確な白黒を求める人:運の要素が完全に排除された「完全情報公開ゲーム」であるため、実力通りの結果を受け止められる知的好奇心の強い人に向いています。
- 日々の生活に深い集中時間を持ちたい人:盤面に向き合っている間はスマホの雑音から完全に遮断されるため、極上のマインドフルネス効果を得られます。
▼慎重に向き合うべき人(進め方に注意が必要な人)
- 負けることに対して極度の精神的苦痛を感じる人:将棋は運で勝てない分、敗北の責任が100%自分に帰属します。最初の10〜20局は「負けて駒の動きを身体に染み込ませる期間」と割り切れない場合、強いストレスを感じてしまいます。
- 最初から難解な定跡(決まった指し方)を暗記しようとする人:理屈を理解しないまま定跡書を丸暗記しようとすると、相手が一手でも予想外の手を指した瞬間に思考停止に陥ります。最初は定跡を捨て、駒の利きを意識した自由な殴り合いを楽しむべきです。
【将棋 の 駒の 動かし 方】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:駒が成るか成らないかは、必ず選ばなければいけないのですか?
A1:原則としてプレイヤーが自由に選択できます。敵陣3段目に入った際、裏返してパワーアップさせる「成る」を選ぶのが99%有利ですが、あえて「不成(ならず)」を選ぶことも認められています。例えば、銀将は成ると金になってしまい「斜め後ろ」に引けなくなるため、退却経路を残すためにあえて成らない戦術が実戦でもしばしば登場します。ただし、歩や香車が1段目に入った場合や、桂馬が1〜2段目に入った場合は、成らないと「行き所のない駒」になって反則となるため、強制的に成らなければなりません。
Q2:相手から取った持ち駒は、いつでも好きなマスに打てるのですか?
A2:自分の手番であれば、空いているマスならどこへでも1手を使って配置(打つ)することができます。ただし、前述した「二歩の禁止」「行き所のないマスへの配置禁止」「打ち歩詰めの禁止」という3つの反則ルールに抵触するマスには打てません。また、取った駒を裏返した状態(成駒の状態)で直接盤上に出すことはできず、必ず元の表向きの状態で打たなければなりません。
Q3:大人の初心者が独学で始める場合、最初にインストールすべきツールは何ですか?
A3:いきなり対人対局アプリを入れるのではなく、日本将棋連盟公認の入門アプリや、AIの難易度を極限まで落とせる練習用アプリ(例えば『ぴよ将棋』の入門レベル設定など)が最適です。手加減をしてくれるAIを相手に、「駒をタダで取られない」「相手の隙を突いて竜を作る」という成功体験を積むことが、継続のための最大の防壁となります。
まとめ:盤上のルールを味方につけて最初の一勝を掴むために
将棋の駒の動きは、一見複雑に見えて極めて機能美に満ちた設計がなされています。全方位に威光を放つ王将、突破力と制圧力の飛車・角、柔軟に戦線を押し上げる金・銀、そして地道な歩みから大化けする歩兵――。それぞれの駒に固有の性格とストーリーがあり、それらを束ねて指揮を執る面白さこそが、数百年色褪せない将棋の醍醐味です。
まずは「王・金・銀・歩」を動かして陣形を守り、敵陣の隙を見て飛車や角を成らせる感覚を掴んでみてください。ルールを完全に覚えた先に待っているのは、指すごとに自分の思考が深まり、盤上で知略がスパークする極めて贅沢な知的エンターテインメントの世界です。 (出典: 将棋 の 駒の 動かし 方(Yahoo!ニュース))